「地域活性化」-より効果的なアプローチとは

地域活性化1 引用元:ぱくたそ
 日本の風景は、戦後の高度経済成長をきっかけに、大きく様変わりしました。都市に人口が集中する一方で、地方都市は衰退の一途をたどり、今日に至ります。特に、農山漁村からの人口流出は、「平成の大合併」によって大幅に進み、多くの自治体が存続の危機に迫られています。このような状況の中、人口減少や高齢化に悩む地域に人を集め、活気をもたらそうという「地域活性化」の動きが、1990年代以降、活発化してきました。今では日本各地において、自治体やNPO法人主導で様々な取り組みが行われ、若い世代の関心の高まりとともに、その効果が注目されています。「地域活性化」の取り組みと今後の課題について、ご紹介します。
 1.地域の活性化の必要性
 2.地域活性化における課題
 3.課題解決のための方法
 4.地域活性化の様々な事例

地域の活性化の必要性

日本では、第二次世界大戦後の高度経済成長にともない、地方から都市へと大きく人口が流出しました。以降、都市に人口が集中する一方で、農山漁村は高齢化・過疎化の一途をたどってきました。平成11年にスタートした「平成の大合併」によって、自治体の数は、3,232から1,718(平成26年4月5日現在)へと大幅に減少し、地域間の格差が決定的に拡大しています。

-大きな町と合併して、役場が姿を消し、人の通りもめっきり少なくなった。学校は統合されて、子どもたちは遠い町へと通学することになり、働く場所もない。若い世帯のほとんどが、この地域を出て行ってしまった。大きなスーパーが町にできて、商店はやむなく店を閉めた。食料や日用品の購入は、週に1度、町までタクシーに乗って出かけている。医師の不足で、町の病院も閉まったままだ。急病であっても、診察してもらうには、1時間もかけて行かなくてはならない-。

例えば、程度の差はあれ、こういったゴーストタウンのような地域が、特に農山漁村において増え続けています。働く場所、学校、商店・スーパー、病院、バスなどの公共交通機関、福祉サービスなど、いずれも不足しており、大変な不便を強いられる住民の人たち。将来への希望が見えない中、働き盛りの若い世代を中心に、住み慣れた地域を離れて都市へと移り住み、年老いた夫婦のみで地域に留まるといった厳しい状況が各地で見られます。
 このような地域において、住民サービスの充実や、雇用の促進、地域の魅力の発信などによって、人を呼び寄せて活気付ける「地域活性化」の取り組みが今、求められているのです。

地域活性化における課題

地域活性化2 引用元:ぱくたそ
活性化を必要とする地域が抱える問題と、解決のために必要な課題をまとめました。
● 少子高齢化 → 雇用の創出、住民サービス(医療・福祉・教育)の充実
● 農林漁業の担い手不足 → 魅力ある雇用創出、移住の促進
● 耕作放棄地や荒廃林の増加 → 農業林業の雇用創出、移住の促進
● 買い物難民 → 交通サービスの充実、宅配サービスの導入
● 伝統文化の衰退 → 地域の魅力発掘、イベント開催

 様々な課題の中でも、「雇用の創出」「住民サービスの充実」「移住の促進」がポイントになるでしょう。これらを実現するためには、どのような方法があるのでしょうか。

課題解決のための方法

地域活性化3 引用元:ぱくたそ
 「地域活性化」の取り組みの母体としては、主に「自治体」と「NPO法人」が挙げられます。また、最近は「クラウドファンディング」「クラウドソーシング」など、ITを活用した取り組みにも注目が集まっています。それぞれの特徴を見てみましょう。

● 自治体主導
 自治体の取り組みで注目されているのが、平成17年よりスタートした総務省の制度「地域おこし協力隊」です。人口減少や高齢化に悩む地域に、都市部の人材を受け入れて、一定期間移住しながら、住民と協力して活動に取り組んでもらう制度です。外からの定住・定着を進め、地域力の維持・強化を図ることを目的としています。

● NPO法人主導
 社会のニーズに応じて柔軟な活動を行う「NPO法人」。自治体と協力し、地域に根ざした活動を進めています。取り組みは、各法人の個性が光り、実に多彩。「農林漁業の手伝い等のボランティアツアー企画」「まちづくりイベント・ワークショップ開催」「古民家の宿泊体験」「観光誘致のための映像制作」など、意欲的な活動で貢献しています。

● クラウドファンディング・クラウドソーシング
 「クラウドファンディング」は、インターネットを通じて資金を調達する仕組みです。行政の予算(=税金)を使うのではなく、広く多数の人から寄付を募り、様々なプロジェクトの実現を叶えます。「クラウドソーシング」は、ネットを通じて人材やアイデアを調達するシステム。地元在住で様々な仕事を得ることができ、雇用の創出に寄与しています。

地域活性化の様々な事例

地域活性化4 引用元:ぱくたそ
各地で成功を収めている「地域活性化」の事例を7つご紹介しましょう。

● 北海道東川町 「『写真の町』ひがしかわ株主制度」
 町を応援したい人が、一口1,000円以上の投資(寄付)によって株主となり、まちづくりに参加する制度。「ふるさと納税」として税の控除を受けるほか、森林公園内コテージの半額利用、特産品などの優待を受けることができます。平成20年9月にスタートし、株主総数は8,349人(平成28年3月末現在)。植林や教育など、町の事業に貢献しています。

● 福島県昭和村 「ボランティアワークキャンプ」
 人口約1,300人の村で、民家にホームステイしながら、住民の要望に応じて農作業や雪かたしをボランティアで手伝う「ワークキャンプ」。NPO法人苧麻倶楽部会の主催で平成19年より開催、国内外から数多くの若者が訪れています。集落の高齢者と若者が交流を深め、移住につながるケースも増えています。

● 群馬県東吾妻町 「大戸診療所」
 住民と医療関係者の共同で平成6年に開設。地域の医療・介護に貢献しています。平成3年に国立療養所が廃止となったのを機に、新たな医療施設を作る運動をスタート。出資者の募集、土地探しに始まり、試行錯誤して診療開始にこぎつけ、全国的に注目を集めました。設立20年となる平成26年には「第4回地域再生大賞」で準大賞を受賞しました。

● 島根県海士町 「高校魅力化プロジェクト」
 過疎で廃校寸前だった隠岐島前高等学校。3つの島が協働してプロジェクトを進め、全国・海外からも志願者が集まる学校へと生まれ変わりました。入学者数は平成20年の28名から、28年には65名と大幅に増加。「島留学」、地域の魅力を伝える「ヒトツナギ」活動といった独自の取り組みに関心が高まっています。

● 徳島県上勝町 「葉っぱビジネス『いろどり』株式会社」
 日本料理を彩る季節の葉、花、山菜などの「つまもの」を栽培・出荷・販売するビジネスです。町の半数近くを占める高齢者が活躍できる仕事を模索して生まれました。町を主な出資者として平成11年に設立した株式会社「いろどり」が運営しています。高齢者1人ひとりがパソコンやタブレットを駆使して市場情報を分析し、全国に出荷しています。

● 宮崎県日南市 「クラウドソーシングによる就労支援」
 民間人登用で抜擢された若手職員を中心に、クラウドファンディングによる資金調達、ITを活用した市場開拓や企業誘致等、雇用の創出を目的にユニークな企画を打ち出し注目を集めています。平成27年には「月収20万円のテレワーカー育成プロジェクト」として、公募で選んだ住民に対し、株式会社クラウドワークスが仕事受注の方法を提供しました。

● 沖縄県伊江村 「修学旅行生向け民家体験泊」
 過疎地域である伊江島で、修学旅行生を民家に受け入れ、漁業、農業、三線、琉装、酪農といった「伊江島の暮らし」を丸ごと体験してもらう事業です。平成15年より伊江島観光協会が開始し、JA、漁協、商工会なども協力して一大産業となりました。受け入れ民家は120軒まで増加。毎年数万人の修学旅行生が島に訪れ、移住にもつながっています。

まとめ

 人口の減少や高齢化に悩む地域は、数多くの問題を抱えています。「地域活性化」と一口に言っても、求められる取り組みは、地域の実情によって異なります。活性化の成功事例から分かるように、自然の豊かさ、人のあたたかさ、絆の深さ、昔ながらの伝統文化・工芸品など、それぞれの地域は、外部からの人を引き付ける様々な魅力にあふれています。ないものではなく、あるものに着目すれば、地域の魅力を発信できる多彩なアイデアが生まれるのでしょう。クラウドファンディング、クラウドソーシング等、ITも有効に活用することで、世界は一気に広がります。「地域活性化」は、その地域の住民だけでなく、都市部の人々、外から訪れる人の利益にもつながり、日本全体を豊かにしていく取り組みだと言えるのではないでしょうか。

この記事を書いたのは

Bori

社会人。ITで世界を変えたいゲーム好き。